生活不活発病という病気が注目されています。TVで放送されていたからのようですが、以前にも注目されたことがあります。地震などの災害で被災された方が発症してしまうケースが多く見られたようで、そのときにも専門機関が注意を呼びかけています。
簡単に言うと、日常生活が不活発である(あまり動かない、体の各部分を動かすことが少ない)と発症する病気ということです。
目次
生活不活発病とは
もう少し詳しく見ていきましょう。生活不活発病とは学術用語では廃用症候群(はいようしょうこうぐん)と呼ばれています。
「廃用」とは役に立たなくなったり、役目を終えて使わなくなることを意味していますが、この病気は体の各機能を全く使わなくなったから発症するものではありません。厳密にこれくらい使っていればOKという分かりやすい基準はありませんが、少しでも動かしていれば大丈夫ということではないのです。
若い人でも、例えばデスクワークなどで同じ姿勢のまま長時間仕事をしていると、体が固まったような感じになったりしますよね。そういう状態が1週間、1ヶ月と続いたらと考えるとそりゃ病気にもなるだろうと思えてきます。
生活不活発病になるのは老人が多いのですが、老人はただでさえ若い人と比べて簡単な動作さえやりにくいことがたくさんあるからですね。一度環境などで発症しやすくなると悪循環が始まってしまうのが怖いところです。
しんどいからやらない→生活不活発病になる→さらにしんどくなる→病気の悪化
また、発症しやすい環境ですが以下のようなものがあります。
- 家族に「危ないから出掛けるな」と言われる
- 他の病気や怪我などで体を動かせなくなる
- 介護の人が自分でやれることまでやってしまう
- 災害などで被災し、避難所生活になった
- 友人などがいなくなった
これらを見ると、不可抗力や周囲の人の優しさによるものが多く、病気を知って意識して注意することが必要だと思います。
認知症との関係
さきほど老人が発症しやすいと言いましたが、生活不活発病は認知症とも密接な関係がありそうです。
認知症の約6割を占めるのがアルツハイマー型認知症であり、その発症の原因と考えられているのが、食習慣・運動習慣・行動習慣・対人習慣・睡眠習慣などです。
つまり、
- 適度な運動をしているか
- 人と接することが多いか
- 頭を使った作業をしているか
このあたりが生活不活発病とかぶっているのです。
どちらかが発症する環境では、両方発症する可能性が高くなるのではないかと考えます。逆に考えれば、予防すればどちらも避けられたり遅らせたり出来るのではないでしょうか。
生活不活発病の症状
では、生活不活発病が発症したらどのような症状が見られるのでしょうか。主な症状は以下のようなものになります。
- 関節が動く範囲が狭まる、動かしにくくなる
- 筋力が低下する
- 皮膚が萎縮して割れたりする
- 食欲が無くなる
- 骨が折れやすくなる
- 物事に無関心になる
- うつ状態になる
怖いですね。発症したら余計動けなくなって悪循環になるのがよく分かります。
予防と遅延と改善
予防するには、生活不活発病なので単純に生活を活発にすることですね。
具体的には、
- 家事など家の日常作業を出来るだけ自分でこなす
- 友人や家族など会話出来る相手を増やす
- 家の近場でも良いので散歩などをする
簡単なようですが、それほど単純ではありません。
どれもやりすぎたり無理をしたりすると逆効果になってしまいます。また、動かすと痛い等の怪我や病気がある場合は、無理して動かすことでストレスがかかり、別の病気を招いたりして危険ですし、何より本人がかわいそうです。
動くことがしんどい場合は、少し動いてすぐ休んで、また少し動いて・・・という具合に、1回の量を減らして回数を増やすなどの工夫が必要かもしれません。
自分自身も周りの人も、少しでも兆候が見られたり、発症しやすい環境になってしまったら、お医者さんとも連携して適切な運動等を意識して対策していきましょうね。
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